石川 侑磨さん(3年)

この3月、4年ぶりに姉妹校であるカリフォルニア州マウンテンビュー高校への訪問が再開された。参加した生徒に発見したことや経験したことを記していただいた。

建造物の違いに驚く 

「アメリカ」と聞いてみなさんは何を思い浮かべるだろうか。先端科学や新技術を中心とした製造業を利点にもつアメリカは、世界で最も巨大な工業国である。情報化が進み、グローバルな取り組みが大切になってくると予想されている今、自分に足りていないことや必要な技能を知るために、私は磐田南高校のマウンテンビュー訪問研修に参加した。世界の最先端で開発を続けているアメリカの特徴と私が感じたことを3つ紹介しようと思う。

1つ目は地理的な観点から、建造物についてである。日本の高層ビルといえば、お互いが近い距離で存在しているイメージがあると思う。しかし、アメリカでは高さの低い建物がかなり広範囲まで連なっている。特にサンフランシスコでは、一階建てで広い庭を持った家が何軒もあった。広大な面積を誇るアメリカならではの特徴でもあるが、ホストファミリー話によると、家の状態が悪い物件でも地価が高いのが原因で数億円するところもあると聞き、驚愕した。

授業の違い 多様性を重視するアメリカ

2つ目は日本とアメリカの高校の授業風景の違いである。日本では、受験生の大多数が受ける共通テストに課せられているように、高校の授業でも5教科7科目、6教科8科目の授業を受けている。国の定めた教育課程に沿って授業が標準化されていることによって、授業の進度や全体への統一が重点に置かれる。ある意味、一点集中ではなく、全体が一定基準できるようになる必要がある。一方で、アメリカでは多様性を重視していることもあり、地域や学校によってカリキュラムが異なっていたり、幅広くいろいろな科目が用意されていたりした。自分の興味関心、そして習熟度にあった教科を選択していた。この意味ではアメリカの授業は自由であり、好きな科目、得意な科目をより深くまで学ぶことによって、一人ひとりの個性を活かす文化があった。この個性を伸ばす授業方針が科学者や専門家を育てるきっかけとなり、アメリカが世界をリードしている要因となっているのである。

伝えようとする意欲が大切

3つ目は英語が「話せる」と英語の問題が「解ける」は似ているようで違うということだ。英語の問題を解くとき、解くのは自分であり言葉を発さない紙とにらめっこすることになる。一方、対話は人と人との間のコミュニケーションである。人と話すうえで大切なのは「わかりやすく伝える」ことであり、細かい文法や何百、何千という単語で正確な文を作ることに越したことはないが、それよりも簡単な単語と伝えようとする意欲を持つことが重要である。英語を上達させる最も早い方法は現地に行って常時英語に触れることである。

この研修での成果を一言で表すならば、「百聞は一見にしかず」である。アメリカへ行き、自分の目で直接真偽を見極める大切さを改めて知ることができた。私は今回の研修の団長として参加した。世界規模の視点を持つにはある物事を見たり体験したりして、実際に肌で感じることで自分なりに問題点とその解決策を見つけ、進んで行動することが重要だとわかった。26人で過ごした10日間のマウンテンビュー高校訪問研修は、なにものにも変えられない貴重な体験となった。

日本の伝統文化であるけん玉を教えてあげているところ