私は高校を卒業後同志社大学に進学し、卒業後は静岡で就職しましたが、その後京都市立芸術大学に再入学し、それ以降ずっと京都にいます。いつの間にか静岡に住んでいたより、京都にいる時間の方が長くなりました。

ソプラノ歌手と言うと、よく「オペラ歌手ですか?」と尋ねられます。残念ながら私が専門にしているのは「芸術歌曲」です。オペラに比べてちょっと地味です。芸術歌曲とは文学作品である“詩”に作曲家が触発され音楽を付けた楽曲、つまり“うた“です。1曲が短いものは1分から、長いものでも10分程度です。歌曲はその短い時間の中に人の心の機微、人間関係、一瞬のドラマが凝縮されています。私はその小宇宙とも言える世界を表現することに魅せられ、また得意としています。

演劇と読書に触れた高校時代

高校の部活は演劇部でした。卒業までの3年間、そこで青春を満喫させてもらいました。また図書委員でもありました。ここでは毎月読書会を開き、多くの文学に触れることができました。そのいずれも、今の私が歌曲を歌うにあたり、詩の解釈と曲の表現に大いに役に立っているのです。私は作品の本質をとことん追求し、作品の内側からの視点で表現することをポリシーとしています。そこには歌曲でありながら演劇的要素がにじみ出ます。聴いてくださった方に「演劇部にいました」と言うと「なるほど!」と納得されるのです。 さて来年の2月21日(日)に袋井の月見の里学遊館うさぎホールにて、故郷での初めてのリサイタルをさせていただくことになっています(14時開演)。プログラムは全て日本語で組み敷居を低くしています。是非おいでください。歌曲の小宇宙へとご案内致しましょう!