原点を求めて

私が初めてコントラバスに触れたのは磐南2年の冬のことでした。

 中学3年生からギターを始め、高校に入ったら絶対にバンドを組みたいと思っていたので、磐南に入学して真っ先に音楽部を見学しに行きました。バンド単位でないと入部できないと言われ途方に暮れていましたが、ベースを探している人がいると聞きつけ、どうしてもバンドがやりたかった私はベーシストとして名乗りを上げ、なんとかバンドを始めることができたのです。

 始めたきっかけはともかく、スタジオに入るたびにベースが好きになり、どんどん熱中していき、次第に音楽部以外のバンドからも誘われるようになりました。そして、2年の冬。エレキベースのルーツを知りたいと思いコントラバスに興味をもった私は、吹奏楽部の友人の協力と、顧問の先生の計らいにより、楽器を触らせてもらえることになりました。

 初めて弾いたコントラバスの面白さに夢中になって3日ほど練習に没頭しました。調子に乗って漠然と音大受験まで考えたりもしましたが、流れに身を任せているうちに、またバンド三昧の毎日に戻ったのでした。遂にはドラムやギターも受け持ち、3年のはぐま祭では5バンド位掛け持ちして弾いた記憶があります。

出会うべくして

大学入学を機に上京してからは一層バンドに明け暮れ、ベーシストとして様々なステージを経験しながらも、心の片隅には、磐南で弾いたコントラバスのことが引っかかっていました。

再び手にする機会が訪れたのは大学卒業直前のこと。縁あって教えてもらう機会を得て、久しぶりにコントラバスを弾いたところ、やはり面白く、途轍もなく難しく、その日から寸暇も惜しんで練習するほど、完全にのめり込みました。

 その後、東京藝術大学別科を修了し、現在はコントラバス奏者として、オーケストラやミュージカルなどで、アンサンブルの土台を支える演奏をしています。また、一人でも多くの人にこの楽器の魅力を伝えるため、ソロコンサートも開催しています。コントラバスには面白い独奏曲がたくさんあります。まだ、コントラバスの音楽を聞いたことのない方は、ぜひ聴いてみてください。

https://masashiyamamoto.net/

何事も一朝一夕には成しえずと言いますが、磐南で好きなことに継続してとことん取り組み、追求する楽しさを知り、回り道したからこそ見えた景色が、いまの私を支えてくれているのだと実感しています。

豊洲シビックセンターホール「日本現代音楽展」にて独奏曲を初演(2018年8月)
掛川市大須賀中央公民館でのソロコンサートの模様(2022年3月)

ソロコンサート 9月22日(木) 静岡市AOI

9月22日(木)に静岡駅前のAOIにおいて、「独奏コントラバスのための現代作品が誘う世界」コンサートを開催します。コントラバスのソロコンサートです。是非、お出かけください。

このコンサートは、サントリー芸術財団 佐治敬三賞 推薦コンサートに選出されました。