長年食品開発研究に携わってきて、全ては語りきれませんが、その一端だけですが、紹介させてもらいます。

R-1ヨーグルト飲料を開発

最も深く携わった研究開発は、機能性乳酸菌ヨーグルト研究になります。この研究の基になる乳酸菌は、ブルガリアから輸入した乳酸菌株で、現地では、癌に効果をもつ乳酸菌として、研究されていた菌株になります。大量の多糖体を産出して、粘稠度の高いヨーグルトを作ることができます。この菌株を用いて開発したのが、R-1ヨーグルト飲料になります。

このヨーグルトの機能性は、人の免疫を活性化するものです。少し詳しく言うと、免疫は大雑把にいって、自然免疫と獲得免疫(ワクチン等)に別れていますが、この乳酸菌は、自然免疫の主役のナチュラルキラー細胞を活性化させ、ウイルスなどに感染した細胞を死滅させる力をもっています。

新しい商品を人はどのようにして買う判断をするのか

新しい商品は、いい物でも、欲しいという気持ちとそこまで必要ないという気持ちから認知的不協和が発生するので、それだけでは購入してもらえません。それは人間の脳が行う判断の特性に由来します。人間の脳が行う判断は約70%が、経験則等を基に、二元論で判断すると言われていますが(既存の情報を基に判断するAIと同じです)、残りの30%は、潜在領域の範疇で曖昧な決定がされます。世の中にない新しい価値をもつ商品は、今までに情報が全くないので、二元論で判断されず、潜在領域の中で曖昧な判断がなされる事になります。潜在領域の中に、何とか情報を送り込まなければ、脳の中で相手にもされない事になってしまいます。現在のマーケティングでは、どの企業も行動経済学を参考に挑戦しています。

新しい商品の認知率をアップさせるために

機能性の食品は、決して安い買い物ではないので、購入したけど、効果がないと二度と買わない事になります。商品の効果を実感させ、脳の潜在意識に到達させる為、R-1では、九州地区と東北地区で大規模な実感試験を実施し、また小・中学生を対象に三千人規模の実感試験を実施して、それらの結果をマーケティングに生かした事で、現在の商品認知率になっています。

研究はやめられない

食品の研究開発は、消費者に身近な研究であるが故に、難しくもあり、また成功した時の喜びは大きなものになる研究です。この齢になっても、魚分解物の機能性をスポーツ分野で研究しています。