このたび、鹿児島県で開催された第47回全国高等学校総合文化祭自然科学部門・研究発表地学部門に参加した地学部が優秀賞を受賞しました。

遠州灘の漂着軽石を探る 海底火山「福徳岡ノ場」火山の噴火に由来する軽石か?

研究タイトルは「遠州灘の漂着軽石を探る-福徳岡ノ場起源の軽石との比較-」で、宇都宮櫂さん(3年)・馬淵彩花さん(3年)・吉田和佳奈さん(3年)・鈴木仁緒さん(2年)・川崎琉菜さん(2年)の共同研究によるものです。(写真上=左から、鈴木さん・馬淵さん・宇都宮さん)

2021年8月に南硫黄島の近くにある海底火山である「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)火山」が噴火し、それに由来する大量の軽石が沖縄県の海岸に漂着しました。福徳岡ノ場起源の軽石は海流に乗って遠州灘の海岸にも漂着すると推測し、調査を実施しました。

2021年11月から2022年5月までの調査で、灰色の軽石と白色多孔質の軽石を採取し、これらの軽石について化学分析や産状、形状に着目することで、起源や漂着時期、特徴を明らかにすることを目的としました。

化学分析・形状分析・当時の風向き等多角的に調査・研究

化学分析の結果より灰色軽石は福徳岡ノ場起源の軽石と考えられます。また、形状分析と産状より、黒潮による長期間の運搬の過程で浸食作用によって円磨、破砕され、形状が近くなり、2022年4月に漂着したと考えられます。さらに、白色多孔質の軽石は複数種類があり、これらは2021年12月に漂着し、カワゴ平パミス、神津島天上山テフラ、新島向山テフラ、大隅降下軽石の可能性があります。

本研究は、資料について形状(粒径、円磨度、三軸測定、密度測定)や種類分け、化学分析、鉱物組成、屈折率、当時の風向など多角的な視点で研究を行ったことが評価されました。

今後は白色多孔質の軽石の起源をさらに究明するとともに、新たな軽石の活用法を考案したいと思います。

全国高総文祭参加の地学部・生物部生徒が         一緒にフィールドワーク

桜島の溶岩なぎさ遊歩道にて(後ろに見えるのは桜島)
溶岩なぎさ遊歩道でみられる大正溶岩

                           榑松宏征(地学部顧問)