NYで個展開催 多様な在り方を認める

個人主義を目の当たりに

2019年に、MoMAの作家支援プログラムと、有力なコレクターであるコーディ・フランケッティ氏のサポートを受けて、NYのリンカーンセンター内で大規模な個展を開催しました。その時、NYの蒐集家や観客たちが、独自の視点で作品を愉しみ評価をしていることが印象的でした。それは人種や思想が混在する中で培われた多様な在り方を認める個人主義の文化(インディビジュアリズム)の片鱗を目の当たりにしたような瞬間でした。

NYの個展にて コーディ氏と(リンカーンセンター)

高卒後、都内の美大に進学 多くの生き方に触れてきた

私は今日、画家として活動していて、原色を幾層にも重ねて、消えては現れる波のような葛藤を表現しています。多動児だったことや、幼少の頃は海の側で育ったことが、少なからず制作のヒントや題材になっていて、現在は郷里を離れ、埼玉で日々美術を探究していますが、私の中にある静岡の原風景は今でも絶える事なく、作品の中で鮮やかに息づいているように思います。高校卒業後は、都内の私立美大に進学しましたが、その間、磐南には教育実習の研修でもお世話になりました。「対義語を自身で選び、それぞれのイメージをコラージュする」そのような授業をした記憶があります。力不足ながら美術の面白さを伝えるべく試行錯誤した、苦くも懐かしい思い出があります。本格的に画家を志すも絵で生計を立てることは厳しく、身体に障害を持つ方の自立生活支援の介護の職に10年ほど従事していました。色々な人間の個々の立ち位置を知り、その多くの生き方に触れました。

NYの個展風景 作品「わだつみ」を鑑賞する来場者

すべての物事は意味があり、実は繋がっている

幾つもの苦楽があり、2022年に画家として法人化をし、制限や枠組みを越えるような美術の更なる可能性に挑戦しています。NYの展示は、遠州灘のイメージを描いた「わだつみ」という作品を東京で発表した際、コレクター間で話題になり幸運にもコーディさんの目に留まったことが開催のきっかけでした。一見、無関係に見えても、すべての物事には意味があり、実は繋がっている、そのような気がしています。