「高校生ラボ」 1月29日(月) ワークピア磐田
磐田市の支援を受けた「高校生ラボ」は、生徒が企画する講演会。磐南生は、「音楽を仕事にするということ」をテーマに、作曲家・編曲家の浦木裕太さん(高67回)を招き講演会を企画しました。生徒会長の山下翼さん(2年生)が質問し、浦木さんが応えるという対談形式でした。
山下さんの「音楽の世界を目指したきっかけは?」「なぜ音大を目指したんですか?」等の質問に熱心に答える浦木さん。150名余の生徒・市民らは興味深く耳を傾けました。対談中、浦木さんが即興で作曲する企画もあり、作曲用ソフトを使用し試行錯誤しながら曲を作りあげる作業を見て、浦木さんの仕事の様子を伺い知ることができました。
浦木さんのお話の概要は、次のとおりです。
久石譲のジブリの音楽に惹かれて作曲の道へ
私は、TV番組で使用される様々なBGMを作曲したり、既にある曲を編曲したりしています。作曲というと何か表現したいものがあるというイメージですが、私が現在している仕事は企業等の顧客から依頼されたものを形にするというものです。ジブリの音楽(作曲:久石譲)に感動したことが作曲の道に進むきっかけとなりました。
家にピアノがあったため、ひたすら弾いていました。小学5年生の時にライブコンサートのようなものがあり、ピアノが好きな友達と連弾をしたことがありました。母はピアノを弾いていました。父は美術の教員でした。特別優れた音楽家の家庭であった訳ではありません。そういう環境であっても、自分が音楽を好きであるならば、やっていけると思います。
作曲の才能に眼ざめ 久石譲と同じ国立音大へ
中学2年生の時に作曲を始めました。音楽を聴いていて、次の旋律を思いつき、この能力を活かそうと思いました。久石譲さんが国立音大で学んだことを知り、国立音大への進学を決めました。高校3年間、音楽教室に通いソルフェージュを学びましたが、3年間ではとても身に付きません。音楽の道に進もうと思う人は、小学生など早くから学んだ方がいいと思います。
楽器で一杯の部屋 作曲はパソコンを使って
東京都青梅市の郊外にある一戸建ての借家に住んでいます。自分の部屋は購入した楽器で一杯です。最近は、コントラバスという楽器が面白いと思っています。楽器の演奏は趣味です。楽器の演奏ができなくても、パソコンだけで作曲できます。ソフトウエアの音源はできるだけ良いものを探して使うようにしています。日々新しい音源が生まれています。集めた音源のほか、生の楽器演奏の音を加えるなどしています。
本当に好きな道なら続けられる 生成AIを使用
会場の高校生・市民から、「音楽が好きですが、好きなことを仕事にしてずっとやっていけるか心配です」「生成AIを利用しているか。どう付き合っていくか」等の質問がありました。浦木さんは、「本当に好きなら続けられる。そんな心配はしなくてよい」、「軽い作曲ができる音楽用生成AIを活用しています。もっと優れた生成AIができると仕事を失うかもしれない」と回答されました。
「飲食店ではBGMが流れていることが多いですが、そのBGMの音の組み立てを分析することに集中してしまい、注文した食事を味わうことが二の次になってしまうことがありました」等の裏話も聞かせてくださいました。
現在、浦木さんは客の依頼を受けて、客の要望を形にしています。納期を守らないと信頼を得られず仕事を得られなくなることから、約束を守ることを大切にしているとのことです。