私は大学卒業後の5年間、国際協力団体の一員として東南アジアのラオスに駐在し、小学校建設や母子保健改善プロジェクトに携わりました。ラオス人は、通りすがりにお昼ご飯を分けてくれたり、知らない人でも目があったらにっこり笑ってくれたりと人に優しく、現地では楽しい日々を過ごしました。
紛争、貧困、環境など世界の様々な問題を考える場を作る活動
一方、駐在中にラオス人の友人や同僚8名が亡くなりました。日本では死に直結しない軽い病気や事故が原因で、途上国の厳しさを目の当たりにしました。さらに、現地で先祖代々守ってきた森を日本企業が伐採する出来事にも遭遇しました。日本企業も悪意があるわけではありません…世界の現状を知る機会や、自分たちの生活にも関係していることに気づく学びの場を作りたいと、帰国後地元で“国際理解教育”活動を始めました。教員など有志らと市民団体を立ち上げ、学校等への出張講座や公開講座・イベントを行っています。
紛争、貧困、環境など世界の様々な問題を、ゲームのようなことや話し合いを通じて考える場を作っています。例えば途上国の生産者に配慮した貿易を行う“フェアトレード”を学ぶ講座では、「インド綿シャツ」の生産流通を想定し、インド綿栽培農家、日本人商社社員、日本人消費者等の役になって、インド綿農家が農薬で病気になった事例について話し合ったりします。知識を得て終わりではなく、自分に出来る解決行動に繋がることを目指します。参加者の属性や興味関心に合わせ、誰でも楽しめることを意識して内容を構成しています。中学生と80代のベテランさんが笑い合いながら真剣に世界のことを語り合う姿も見られたりします。人と人が思いやりを持ち、コミュニケーションを育む場でもあると感じています。
現在は、地域福祉を考える会や外国人児童支援活動など地域課題にも関わり、活動が広がりを見せています。問題の答えは常に一つではありません。一人ひとり背景の異なる人々が本音で語り、様々な解決の糸口を見つけられる場をこれからも作っていきたいと思います。